Apple信者がAppleに反感を抱いた瞬間

 

先日、長年アップル製品を愛用している信者の友人が珍しくアップルのことを口汚く罵っていました。

彼は私がアップル株を買う切っ掛けを与えてくれた人物で、アップル製品などipodくらいしか使ったことが無かった私に「これほどまでの狂信者がいるのならアップルの将来は安泰に違いない」と思わせるほど林檎愛に満ちた男でした。

そんな彼がなぜ信仰心を損ねる事態になってしまったのか。

事の発端はiphoneだけで飽き足らずアップルウォッチを購入したことでした。彼は狂信者と言えども家庭持ちで少ない小遣いのため、何も考えずに最新版の最上位機種を新品でお買い上げというわけにもいきませんでした。中古の旧モデルも視野に入れながら、1か月近くも慎重に検討に検討を重ね、最終的には「SEのセルラーモデル」をチョイスしていました。

ちなみにSEとはサイズが小さく一部センサーが省略された廉価版のことで、セルラーモデルとは単体で通信が可能な機種のことです。私はあんまりスマートウォッチに興味が無くて知らなかったんですが、それだとスマホ本体を持ってなくてもアップルウォッチだけでほぼ全てのアプリを使えるうえに電話まで出来てしまうんだとか。使いこなせたら確かにスマートで先進的なカッコいいライフスタイルを送れそうな逸品ですな。

注文から数日後、彼は「今日帰ったら届いているはずなんだ」と期待に鼻の穴を膨らませ、目を輝かせていました。まるで新しいゲーム機を買ってもらう直前の子供のように。

しかし翌日会った時、一転して彼の眼は不機嫌な怒りの炎を滾らせておりました。

「アップルはセコすぎる！！」

「だからアップルはダメなんだ！

もうそんな糞株売った方がいいよ！

っていうか売りなさい！」

驚愕の発言でした。あれほどまでに林檎印を愛してやまなかった男がそんな冒涜的な呪詛を天に吐きかけようとは。

よもやのアンチ転向か！？

一体、奴のアップルウォッチに何があったというのか！？

なんと、奴の持っているiphoneがまさかの「６」で、古すぎて最新のアップルウォッチに対応しておらず、ペアリングできなかったという話でした。同期しようと悪戦苦闘した末にそれが発覚してブチ切れたようです。まさか10年近くも同じiphoneを使い続けていたとは…。スマホなんて長くてもせいぜい４～５年しか持たないと思ってましたが、iphoneって意外と持ちが良いんですね。

それにしても、あれだけ念入りに事前調査してたのに気づけないとは何という落とし穴。アップル側ももう少し分かりやすく表記してあげればいいのに…と思わなくもないけど、10年前の機種を未だに使っている奴まで考慮する必要はないって判断なんでしょうね。

最新機種が出るたびに買い替えるのか、気に入った機種を限界まで使い倒すのか、どちらがアップル信者としてあるべき姿なのか？

アップルに利益をもたらすことが正義なら頻繁に買い替えるべきでしょうが、同じ機種を大切に長く使い続けることが間違っているとも思えない。iphoneを買い替えなくてもアップルウォッチやipadなど他の製品でお布施する場合もあるわけですしね。

まあそれはそうと、彼はあれだけ怒っていたのでてっきりアップル派から離反するのかと思いきや、結局中古のiphone12に買い替えていました。財力的に最新機種にできないことを嘆いてはいましたが。そしてなんだかんだ言いながら新しいアップルウォッチの機能を誇らしげに自慢してくるのです。これが、愛の力か。

つまり彼は私に布教しようとしているわけですが、スマホの乗り換えってかなり面倒ですよね。私はGoogle pixle6a でグーグルアカウントと同期して色々やってるわけで。まあiphoneに乗り換えてもグーグルアカウントそのものは使えるだろうけど、それにしてもねえ…と渋っていると、

「アップル株を持っているくせになぜアップル製品をひとつも買わないんだ！そんなやつに株主の資格があると思っているのか！」

「アップルの技術者だって株より製品を買ってほしいと思っているはずだ！」

「アンドロイドなんてつまらないもの使ってないで早くiphoneに乗り換えなさい！」

「どうしても買わないのか！アップル株に儲けさせてもらってるくせになんてやつだ！けしからん！」

などと罵詈雑言の嵐を飛ばしてくるいつもの彼に戻ってくれたので、やはりアップルはこのように支えてくれる信者がいる限り大丈夫に違いないと安心しました。最近のアップル株はやや軟調ですが、引き続きホールドを決め込もうと思います。