赤い焼きそばの謎

 


今日はお休みだったので、とある知り合い(以下Aさん)に教えてもらったマズイ洋食屋へ行ってきました。


マズイ…と言ってもAさんはランチに1万も2万も払うような超絶グルメ野郎なので、相当舌が肥えています(体も)。私が気に入っている店でも彼にかかれば、

「こんな店のクズ料理を有難がっているとはな!」

などと罵られてしまう。



私が高級料亭だとか行列のできる店には行きたがらないと知られているので、「そういえばこんなマズイ店があってな…」と愚痴りながら教えてくれたのです。ちなみにそこはどこか大きなレストランの料理長が独立して出した店だそうで、Aさんは付き合いで何度か行かざるを得なかったとか。何だか知らんけどよっぽどお気に召さない味だったようで、「あんなものはミートソースではない!!」といたく激昂されていました。



まあ美食家のAさんが気に入らなくてもバカ舌の私にとっては普通に美味いと思える店はいっぱいあるので、どうせ言うほどマズくもない店なんだろとあまり期待はせず車を走らせました。すると、案の定午前11時半なのに駐車場はすでに満車(3台)。やっぱり普通に人気店なんじゃないか?と疑いながらわざわざ有料パーキングに停めました。店の名前は何度見てもすぐ忘れてしまうのですが、「キュイジーヌ フォリ・ア・ドゥ」みたいなかっこええ感じ。こんなオシャレな店がお気に召さないのだから食通とは難儀なものです。



店内はカウンター5席にテーブル席が3つと結構狭く、カウンターにはすでに90歳前後と思しき爺さんが震える手でデカいオムレツの乗ったスパゲティを喰らっていました。そんな年になってもそんなヘビーなものを食べられるなんてすごいな…と感心していると、また80過ぎと思しき爺さんが入ってきて「ハンバーグ」とだけ注文していました。え…単品か?



私も年をとってもハンバーグを注文できるような健啖家でありたいものですが、ここは


「シェフのきまぐれパスタ(1280円)」


にしようと思いました。マズイと言われる店でどんな味だか想像できないメニューを頼むことほどスリリングで楽しいことは他にないからです。



しかし、あいにく今はやっていないと断られてしまいました。これは想定外。つーか、シェフのきまぐれ何とかなんてその場のセンスとひらめきで作るものなんじゃないの? 何でもいいからなんかテキトーに作ってよ!



と言いたいところですが、夏はきまぐれパスタの代わりに冷やし中華をやってるのでダメなんだそうです。こじゃれた洋食の店で冷やし中華なんてやらんでもいいだろ…とは思いました。



仕方がないので改めてメニューを見直すと、


カレー

トンカツ

スパゲティ

ハンバーグ

ビーフシチュー

ドリア

エビフライ


など無難な定番メニューばかり。

…かと思いきや、


「赤やきそば」


なる奇妙なものが混じってました。

まあ夏は冷やし中華をやるくらいだから焼きそばがあってもおかしくはないけど、それにしても「赤」焼きそばとは一体…!?



気になったものは即注文です。そして出てきた赤いそれは、一見ナポリタン風に皿に丸く綺麗に盛られていました。見た目は確かに洋食っぽいです。

しかし麺は焼きそばで、具はエビとキャベツ。麺の上には大量の水菜が盛られています。期待に胸を膨らませて口に入れてみると…



味が…

ない!?



別に全然マズくはないものの、味がない。焼けた麺の香ばしさとエビについてる塩味でそこそこ美味しく食べられますが、確かに麺には味がない。何なら匂いもない。焼けた麺の匂いしかない。



この赤さはケチャップによるものかと思いきや、全くそんな味はしないしトマトの気配もしない。もちろん唐辛子でもなければキムチでもないし、ニンジンやアセロラでもない。塩気も酸味も甘さもない。じっくり味わってみると、何かうっすらと何かの味があるような気がしないでもないけど、何の味かは分からない。



いや…私がバカ舌なだけで実はものすごく繊細な味付けが施されている可能性もありますがね。しかし仕上げにウスターソースをかけるのを忘れている可能性も否定できない。というかウスターソースをかけたら普通にすごく美味しくなりそう。繰り返しになりますが、別にマズい要素はないので、首をかしげながらも何の苦もなく完食はできました。これはこれで面白かった。自分的にはなかなか良い店だったので、秋になったら今度こそきまぐれパスタを食べに来ようと思います。いや、その前にミートソースも試してみるべきかな。





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